斎藤学との対談〈村山美幸〉

対談する人
村山 美幸(むらやま みゆき)

一般企業や医療関係に経理として勤務していたが、結婚し産後うつ病になり、機能不全家族で育ったことを知ると同時に、自分自身が空っぽだと言う事に気づく。そこからは、子育てと共に果てしない自分育てが始まりアダルトチルドレン・毒親・姉妹葛藤・共依存・夫婦問題など数々の家族問題が発覚した。
2015年4月 斎藤学医師と出会う
2016年4月 リカバリングアドバイザー講座3期修了、PIAS麻布コレクティヴ登録(個人カウンセリング)
2017年4月 リカバリー・カウンセラーとして活動をスタート。斎藤学のスーパービジョン、RAカフェ講座に参加し学習も継続中
2022年7月 公認心理師 資格取得
2023年4月 リモートカウンセリング専門のカウンセリングルーム【みゆきの相談室】開業
(お問合せ先 m.9603.h@gmail.com)
現在、NPO法人 日本トラウマ・ザバイバーズ・ユニオン(JUST)にて電話相談カウンセリング業務・自助グループファシリテーター継続中

 

斎藤 学(以下、S):君が疑問を持っていることは何だい?

村山 美幸(以下、M):私のようなリカバリー・カウンセラーが公認心理師の資格を取っても臨床心理士さんの中では認められていないことを最近感じています。どういう活動をしたら良いか、ご指導願えないでしょうか。

S:私が価値を置いているのは体験なんだ。その人の動機などが大切。それは一般的なものではない。心理臨床学会の中で公認心理師だと言っても通用しないかもしれないが、私に言わせれば自分の中で苦労もせず問題意識もなくセラピストになろうと思う方が不思議じゃない?
セラピストになるためには、何か動機があるはず。
皆さんの場合は自分の所に問題があって相談をしているうちに回復し、相談を受けようと思った。
その方が自然に感じるんだよ。だから心理臨床学会のような所が持ちたがる差別意識に、こちらが応じない方がよい。大事なのは、今あなたの所に問題意識をもって来る人々の話を聞いて評価をしてもらうこと。資格というのは効果を上げるための前提でしょ。そういう人たちが増えれば世間の人達も喜ぶ。

私が思うのは、あなたのような人がセラピストになるべきなんだよ。
自分で体験している、言語化も出来るし場合によっては未来も読める。
言語化する意味を知っているから、そうならないための手段も取れる。

M:はい、ありがとうございます。
先生と初めてお話ししたのは夢の話でした。それから本当に色々な出来事があり未来を決めて来ました。

S:貴方が実家にこだわってエネルギーを使ったら、ご両親は幸せだけど意味がないよね。変な所でエネルギーを使って来なくてよかった。あなたは皆さんの中で頭一つ先を走っていて、自分の役割を早く決めている。随分と走り方の力強さやエネルギーが違う。クライアントを次々と募集したりする能力も。
私は、クライアントさんのお話を丁寧にお聞きして、少し未来に旗を立てる(メンタライゼーション)ことを意識しています。なるべく明るい未来を目標にしていくといいよ。

M:先生はカウンセリングする時にどんなことに着目していますか?

S:私の場合には未来を決めてしまうんだよ。現在のことでゴチャゴチャしていても仕方がない。
あなたの場合には妹と、ここで揉めていても仕方がないと思った訳でしょう。
それって未来を決めていることなんだよ。未来に導かれて今があるってこと。
エピソード記憶の連続体が私を作っている、つまり過去が自分を創っている。悲しい記憶ばかりを取り入れていくと未来は絶望になる。
だから過去の解釈の仕方で未来は随分と違ってくる。簡単に言えば内側から外側が出来るという考え方をやめること。まず自分の心があって誠実に向き合うといい結果が産まれるなんていうのは嘘っぱちですよ。まず外側(将来)を決めて、その決まりにそって生きれば、中味が外側に合ってくるということ。

そうじゃなくて人間という入れ物があって、顔とか二本足で歩くことは決まっていて、長いこと歩くことは出来るけれど早く四つ足で走ることは難しい、自分の外側が自分の行動を決めている訳でしょ。自分の見かけをよくしていけば中身も変わってくるんだよ。こういうのを構造主義というんですよ。

私のところにやってくるクライエントは憂鬱で過去に囚われている人ばかりだから、空転する悩みをどこかで断ち切ってあげるのが大切。
あなたの場合は「自分自身がセラピーをする側に廻ってごらんよ」って提案した。それって未来を決めてあげた訳だよね。

あなたも、クライアントの話から見えてくる未来の方針のようなものを決めてあげるのがいいと思う。