【連載】映画と私たち「年取って犯罪者にならないために、やりたいことをする」(ふじやまままこ)その22
対談する人
ふじやまままこ
60年代前半に東京で生まれる。広告会社、新聞社、出版社などを経てライターに。斎藤先生とは18歳くらいの時に一度会う。その後30代後半で再会。ウツや発達障害を抱えつつ、なんとなく生きている。
年取って犯罪者にならないために、やりたいことをする
―あのお、自分の犯罪を食い止める意味で、何かしようと考えて、シニア劇団に入ろうかなとか思うんですが。
いろんなやり方があるんでしょ。使えるものはみんな使った方がいい。生身の自分もね。
ちょっとストリップもやってみようとか。
―なんでもいいから…?そっか、犯罪OR大人しくするの二択かと思ったけど(笑)。しかしオバさんの悪目立ちってどうなの?って思ったりして、また腰が引けますわ。
その体験を文章にしてひとつにまとめるのがライティング。
今ね、性倒錯についてのYouTube用のビデオを「おさわりのダンクロウ」さんと一緒に作っててね。
―おさわりの?
窃触障害。イーティング(摂食)ディスオーダーじゃなくて窃触のほうね。フロテリズムっていうらしいんだよ。これをオックスフォード辞典(Concise Oxford)で引くとアブノーマルデザイヤ・フォー・コンタクト・ビトゥィン・ザ・クロースド(服を着たボディ)オブ・ワンセルフ…ワンセルフ&アナザーって書いてある。他人が服を着てる上から触る、病的な欲望。オブ・ワンセルフってなんだって言うとこれはマスタベーションだね。自己ないし他人を触る。性器とかプライベートパートとは書いてなくてBODYって書いてある。
これがオクスフォード辞典の定義ね。一般的には グローピング・モレステーションっていう言葉なんで、これがちょうど日本語の“おさわり”になった。グロープ(grope)は「手でまさぐる」ということだけれど、知的探索を指すこともある。グローピング・フォー・ザ・アンサー(解答をアレコレ考える)、グローピング・モレステーションとなるとmolestationが「性的いやがらせ」ということだから…。
―痴漢ですか。“お”をつけるとなんかごまかされた感じします。
痴漢行為が止められなかった人に、ナゼやったのか、ここ10年、ナゼ止められてるのかを聞きたくて、2時間も録画してたんだけど、初めて動画を撮影した時、ホワイトボードが誤字だらけになってね。焦って、それで2時間全部オシャカにして撮り直した。
―もったいないですね。痴漢の気持ちは聞いてみたいですね。
痴漢の論理ね。未だに彼は自分では止めてるって言うんだけどね、女性のお尻が自分の手を待ってるっていうことは未だ信じてるみたいだよ。逮捕されることには懲りていて、止まってはいるようだけど。
―ただの表現じゃなくて、お尻に呼ばれた的な考え?
「女たちは待っているんですよ、私の手を」と言ってた時期はあったね。その状態で電車に乗っちゃダメだよね。それで移動はすべて彼の車にしていた。他の痴漢も拾って一緒に私のクリニックに来たりしていた。電車の中の人混みという空間が彼らの性倒錯行動を誘発する。そして、その行動は瞬間的と言って良いほどの短時的で消失する。点灯しては消える。そしてそれが反復する。くり返される。ある状況の中で一定の行動がくり返されるというのがアディクションや強迫行動の本質ですね。過食だってそうでしょ。暇で、寂しくて、深夜で、自分のものである空間、それに不眠とかっていうニッチ空間の集積が過食というアディクションにつながる。日本のポテトチップスっていろいろあっておいしいみたいですね。
―やっぱりおいしいですよね、日本のスナック。
私は糖尿病だから、ああいうの食べちゃいけない。
せっかく110まで血糖値が落ちてきたんで、しめしめと思ったら腹が減ってしょうがなくて。
―どんな感じになるんですか。
100って普通の人だったら平常の血糖値になるんだけど、私には空腹感とイライラ感になる。今フリースタイルリブレっていうすごい優秀な機械ができたから、時刻がわかるみたいに血糖値わかるから。それもひとつ問題なんだよね。
―あ、じゃ先生は今の自分の血糖値がすぐわかる?
機械を使ってね、これでちょっと夕飯は遅くして、110以下にしてからいただくという。全部用意したものを食うと危ないから…
―主食を玄米にしたり?
主食は初めから抜いています。最初にところてんやこんにゃくを食べたりする。
―それってダイエットと同じ方法ですよね。時々爆発的に食べたくなりそう。
そういうので腹を一杯にしといて、キャベツとか野菜を先に食べる。それからトンカツは場合によっちゃ衣をはがして食べる。それを女房が見たら文句を言う。幸い彼女はテレビを見ながら麻雀ゲームをしているから、私の食べ方なんて気にしてない。というのも幸せのひとつだね。こういうのは日本だけかな。彼女が居ないとなるとなぜか物足りないからね。
―夫婦の話ですね。
つまり普通の人ってそんなに寂しくない。子育ての時期は、めちゃくちゃ忙しかったり、相手の協力が必要だったり。だけど終わっちゃうと寂しいなりに、これでいいやと感じるようになる。
―いないけど想像はつきます。
ただ、妻のような存在が不可欠かというと言うとそうでもない気がする。実際に先立たれたりすれば慌てるのだろうが。
―でも、寂しいって感じすぎること自体がやばいんじゃないかと自分で思うんですけど。
寂しく感じることが大事だね。
―大事ですか。
寂しいと思えばいろいろなことをお一人様でできるからいいんじゃない。
―自分は本当の「お一人様」としては生きてない気がします。人より孤独を感じやすいのは無駄な動きをするので障害になると思ってるんですけどね~。