【連載】映画と私たち「AI化と共依存の新しい論文」(ふじやまままこ)その12
対談する人
ふじやまままこ
60年代前半に東京で生まれる。広告会社、新聞社、出版社などを経てライターに。斎藤先生とは18歳くらいの時に一度会う。その後30代後半で再会。ウツや発達障害を抱えつつ、なんとなく生きている。
AI化と共依存の新しい論文
―人形やAIを恋人ととして考える理由はなんですかね
あの映画でカズオイシグロのなんだっけな…
―『私を離さないで』?
『私を離さないで』もクローンだね。かわいそうな映画だったけども、もっと…
―『クララとお日さま』ってやつですね。読んでないのですが。
うん、それそれ。それがAIは悪い心が持てないから一生懸命、忠実に尽くすんだけど、最後に捨てられてるっていうか、廃棄場所にいて、青い空や隣のガラクタ金属廃棄物の描写で終わる。AIが心を持つと、壊れるまで心つつくからかわいそうだよね。カズオイシグロは使用済みにされる話が好きなのかな。使い果たされた家具みたいな自分に対しても文句言わないし、面倒な恋愛プロセスもいらないし、みたいなことで人形は求められるんでしょう。AIっていうとマトリックスみたいな、人類を越える能力で戦って、大変だみたいなものが多いけど。人間に使い潰されて捨てられて、みたいな 方向にイメージがいく。イシグロさんは競争して勝つの負けるのという話には行かないんだ。
― 闘争しない静かなAIですね。『アフターヤン』なんかも家族に寄り添うロボットで、古くなって捨てられるような話だったな。それは最近のジャンルとして確立されてるかも。でも私は毒されているから、観てるとAIがいつ暴走を始めるのかなとかドキドキします。人間を攻撃するとか。AIにも人格を求めるように人々がなってきてる。チャットGPTとか。
すぐに来ちゃったねその時代。だけど「今日何時にうちを出たらいいですか」って聞いたら、「仕事に遅れないように出てください」だって。いや私はそれに対してね、今日のご予定は?って聞いてきたらね、本物だと思ったんだよ。
― 先生とチャットGPTの話ですね。
例えば「何時に家を出たらいいですか」って質問してくださいって書いてあるからさ、スマホにAPP入れてトイレで「今日は何時に出たらいいですか」って聞いた。「遅れないようにお出かけください。今朝は天気です」だって。
― 意外と役に立たない感じですね。でもコミュニケーションうまいかも。そこまで考えたプログラムでしょうか。
ま、使い物にならなくてもいいけど、質問すれば、もしかしたら資料ぐらいにはなるものがあるかもしれない。けど調べたいことはもともと、PCで打ち込めば今だって出てくるわけだから。これラブレター書いたりできるって言うんだけど。そんな必要ない人が多いからね。
― いまどきラブレター書く人いるのかな。メールはあるか。
学生さんが論文とかにだろうね、これを使うのは。
―そうですね。でもアイデアがもらえるんならいいかもって思ったんですけど。
だから逆に言えば、 こいつには絶対できないだろうというのを考えてやろうと思うわけ。私いま、共依存とインセストタブーの関係について、もっと整理した論文をひとつ、書きたいと思ってんだけど。あのインセストタブーっていうのは、それこそレヴィ・ストロースじゃないけど、 人智を超えた構造として、人間の中であるものでね。同族のルールっていうか、 同族の女はみんな他族へ。贈り物だから、桐の箱なんかに入れて、兄弟たちに食わせないようにしてお父さんがとっておく。経済行為でね。「贈与のルール」って、レヴィ・ストロースが言い出したんだけど、そのルールっていうのは、それで同族の女はよそに上げちゃって、自分の息子の嫁は、他の部族からもらってくる。他の部族も商品価値として女性を出す。交換に水牛何頭とか、 小麦何トンとかね、ま、そういう外交物件なの、娘は。内部で消費しちゃダメで、これが近親姦がタブーだって言われた最初。分厚い本で『親族の基本構造』という訳本(青弓社)が出てる。
― すごし厚いですね。私には読めなさそう。そういえば友達の一家で全員似てる人がいて、祖母・祖父、甥っ子まで全員が似てて、ちょっとすごさを感じたというか。関係ある話かわかりませんが。
同じ顔してんの?
― 同じような顔してるんですけど。お父さんとお母さん、同じ村の出身親戚かいとこだったかな。
あー、いとこはねかろうじてOKだった。イスラムというかアラブ系はイトコ婚オーケーなんです。レヴィ・ストロースが言いたいのは、
人間関係の様々な相の基盤にある構造の存在ということ。私たちが自分で考えてそうしてると思っていることも、案外そういう基本構造で決められちゃってることもあるってこの本から教わったみたいなもんなんだけど。そういう近親姦に限らず、いろんなタブーがあって。それを冒さないように生きてると、人間の生活になる。自由意思でこうなってるわけじゃない。
― じゃあ抗えない的な?
抗おうとすればできるけど。だけど君の友達みたいな、奇妙によく似てる、みたいな顔になって。何よりも劣性遺伝子っていうか、本来出てこないような遺伝形質が出てきちゃったり。 内臓の位置が逆転してるとかね。比較的多いのは、盲管っていうのかな。胆のうなんかが腸に届かないで閉じてるとか肛門が開いていない塞肛とか。心室、心房の欠損とかもっと多いのは血友病かな。
― ちょっとすいません。先生は先ほど共依存の話してらしたのが気になって。
共依存ていうのは、あれは夫婦関係なんだけど、人の祖先がホモエレクトゥスを経てホモサピエンスになる過程で、共依存的な関係を作ったから、それで単婚制家族ができたというくらい、根源の問題なんですよ。
でもむしろ、共依存という言葉が批判的に使われるようになった20世紀アメリカがヘンなんだ。共依存は女にミーファーストって言わせるの。それは治療対象ですって言ってきたわけだろ。だから自分のやってることのひっくり返しか。これがすごい人間の原則に反したことをやったんだ。
―って、今思ってらっしゃるんですか。
じゃないかな、ということを書いてみようかと思っちゃって。
―えー!じゃ女性としては、共依存でよかったんだぜ!VIVA共依存!みたいなことですか?でも抜け出そうと頑張ってた人たちは今さら困るんじゃないですか。
そうそう、男はどうしようもないから、最初の赤ちゃんを男で練習して、それから子供を作る。で、性別役割分業で男はずっと働いて、女は家族、子供を育てて一生を送ると。これが本来の女で。まずは人間として生きたい、とか言い出すようになってから人間は滅びに入って必然的に少子化が起こった。こういう論理よ。これで一冊書けるじゃない。
― そう言われるとどうすればいいんですか。女性は野望なんか持つな、みたいな。今そう言うと反発されそう。
そういう反女性の人権論みたいなのを書くと、どういうことになるかなと思って。まぁ炎上するだろうね。
―炎上ですよね。
炎上より無視が怖い。だけど人間ってさ、そういう不自然なものなんで、不自然やったからヒト族ヒト(ホモ・サピエンス・サピエンス)になった。ホモ・サピエンスは他にはホモ・サピエンス・ネアンデルターレスっていうのが居たから。それが今、滅びの道に入っているわけだ。
同じ人なのに、無理があるから、勝手にされてるほうから、 回復運動っていうのは、起こってくるだけだよ。で今、そのプロセスに入ったのは、何が起こるかっていうと少子化だ。で、まず東アジア、 ヨーロッパだってそうだけど、西のヨーロッパと東の極東の方から、少子化がバンバン起きてて、韓国なんかは3000万人前後だから。
― もっと少子化ですよね。
すぐ消えちゃうよね、 今、0.8ぐらいだろ。それで、出生率上がったってさ、母集団がどんどん下がってるから 回復なんかしようがないんだ。インドネシア、インド辺りはどんどん増えてんだよ今。それから、サハラ砂漠以南のコバルト産出量50%以上のコンゴとかアフリカがバーンって増えて、東アジアの減少分なんかすぐ補填できる。今年の日本は前年より805万人減って、2、3年経てば100万~150万ずっと毎年減っていくから。
― で、とんちんかんな政策をするわけですよね。
誰か芸人が言った、1人産んだら1000万くれるとか、あれが正しいんだよ。1人産めば1000万円って言ったら、あなただって心動くよね。
―若ければ動くかなあ。私は特殊だからあまり参考にならないけど
若ければって50代まで産めるんだから。
-あーだけど子が成人した時に70過ぎたりしたら子ども側がきついと思う。
今の70代と違うからね。AI式筋肉増強法とか染色体改変におる若返り法とかすぐ出てくるよ。
ーにしても、なあにが「3人目から金出す」だよ。それ目当てで産む人なんているのかな。逆に怪しい感じがします。
大体、非常に危険なんだよ、出産。
―そうですよね。だから何も出産の知識がない状態じゃないと無理じゃないかな。
うん。だから産むってこと自体が非人間的。映画の『バイオハザード』みたいに人体外で胎児の成育を目指す方向があってもいいんじゃないかな。
ダーウィン(「進化論」のチャールズ・ダーウィン)の奥さんが最後に生んだのが48歳。死んだのが88歳っていうから、元気であってもそんな危険なことをね、よくやらせてたなと思うわけよ。 で今、ここで女の人たちの声を聞いてると、産むっていうのはすごい危険だと思ってる。産みたい!って、お産そのものを望んでる女性なんて見たことない。
― そうなんですか。私はとにかく自分のお腹の中にずっと人が入ってるのが怖かった。
君は二人姉妹かな。お母さん2人出産?
― そうです。姉は一人産んで、2回は嫌だって言ってました。
そうなの。偉いね。