【連載】映画と私たち『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』「オセージ族が狙われた理由」(ふじやまままこ)その25

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(Killers of the Flower Moon)は、2023年のアメリカ合衆国の犯罪映画、修正主義的西部劇。監督はマーティン・スコセッシ。主演はレオナルド・ディカプリオ。共演はロバート・デ・ニーロ、リリー・グラッドストーン、ジェシー・プレモンス。本作でスコセッシとディカプリオは、長編映画6度目のタッグとなる。
1920年代のオクラホマ州オセージを舞台とし、石油鉱業権を保持し、高い利益を得ていた先住民オセージ族(英語版)が次々と謎の死を遂げる事件を描く。(Wikipediaより)

 

対談する人

ふじやまままこ
60年代前半に東京で生まれる。広告会社、新聞社、出版社などを経てライターに。斎藤先生とは18歳くらいの時に一度会う。その後30代後半で再会。ウツや発達障害を抱えつつ、なんとなく生きている。

 

オセージ族が狙われた理由

当時、オクラホマはオセージネーションという独立した地区だった。家畜業を営むためにそこへ流れ者が大勢集まってきたんだけど、当初、石油は出ていなかった。オセージ族が石油埋蔵権を持った経緯は、「地下にあるものも土地のひとつだ」と主張した、法律知識のある族長級の人がいて、裁判を起こして勝訴したわけだ。でもそれがあだになったね。

 

―石油の権利がなければ、オセージ族は殺されずに済んだのに

埋蔵権の判決時に石油は出てないから、土地に眠る鉱物を念頭に置いたんだろうね。隣のカンザスシティでは、全部ネイティブアメリカンを追い出して、区割り制にして“草原スタート”のようなことをやったらしい。トム・クルーズとニコール・キッドマンの映画「遥かなる大地へ」に出てくるけど、馬に乗って一斉にスタートして、早い人が土地を獲得する。先に走りだしちゃった人は射殺されて、それからが正式にスタート。

 

―ランドラッシュって言うんですね。にしてもフライングしただけで殺すってコワ

川の近くの土地を確保するために一斉に走って、先に着いた人が欲しい土地に旗を立てる。同時到着のライバルがいたら、殴り合って仕留めるという…。乗ってた馬がなくなった女性が一人で走ってたり、大混乱だったらしい。
『遥かなる大地へ』ではネイティブアメリカンのことは描いてなかったけど、ランドラッシュの前に完全に駆逐されてた。まずバッファローを根絶やしにして食料を取れなくして、あとは人頭割で配給券配って、で、コンビーフにならしちゃって。戦闘員としての能力を奪い、作物のトウモロコシを取り上げ、代わりに政府が食料を配って、自分たちの私有地に押し込めた。オセージネーションは先述のように、連邦政府に認められた特別行政区だけど、州とは違い、法律的には権限がないんだよね。で、シカゴ州の捜査官が事件を調べてたけど、あの時代は何ひとつ立件できず、犯罪者も捕まらなかった。

 

―全部証拠が揃っていたとしても、機関は動かなかった様子ですね

議員から捜査官までみんな金で押さえてる。ヘイルも自分が捕まるなんて夢にも考えてなかった。

(続く)