【連載】映画と私たち「リアルドールの現在地」(ふじやまままこ)その10
対談する人
ふじやまままこ
60年代前半に東京で生まれる。広告会社、新聞社、出版社などを経てライターに。斎藤先生とは18歳くらいの時に一度会う。その後30代後半で再会。ウツや発達障害を抱えつつ、なんとなく生きている。
リアルドールの現在地
―日本製のリアルドールなんて今、クオリティすごいらしいです。
アラブ首長国連邦とか、海外の人が買いに来るんだって。浅草橋辺りかな。なんかいっぱい外車が止まってて、ナンバーが青いの。オーダーメイドするらしい。
― 外務省の車!浅草橋といえば玩具問屋街ですね。あっ浅草橋が本社の二幸の愛ちゃんって有名な人形いましたね。海外の人はオーダーメイドなんですね?顔も肌の色とか目の色とかカスタマイズするのか、なるほど。
生身の女も買えるだろうけど、やっぱり遠慮もあるだろ、生き物だからね。それに肌が衰えたり、男性もあちらが衰えたりするから。
― 人形なら永遠に若いし、メンテナンスもきちんとしてもらえそう。
ベンツ1台ぐらい買えるくらい高価。でも購入の列ができちゃう。手作りに近いし、製造するのは町工場だからね。クリニックに来てる人で、そういうドールのもっと値段の安いレベルの製造品を作ってる人が来てる。で、そういう会社で働いている女の人がいる。好況・不況が、やっぱりもろに出るんだって。そういうフィギュア好きの変態っていうのがいて、そういうのを相手に販売してる。だから裸にできて着替えができて、足もちゃんと開くようになってたよ。 陰部なんかもリアルで。ただSEXはできない、30センチくらいのお人形だから。大きさも実物大じゃないから、あくまで見たり、 座らせたりするだけ。でも結構な大きさがあるから、購入後に結婚が決まったりすると、その隠し場所が大変みたい。そういうドールの消費者も作り手側の人も両方、私の所に来てる。男だけのグループミーティングでそういう話が出ると「あ、持ってる」とか「 1回見てみたい」とか盛り上がるよ。一体30万くらいかな。 購入したものを見せたがる人もいる。
だけど浅草橋で売ってるのはそれより高級。もう少し大きいし、実物大で顔もオーダーメイドだから、髪の毛なんて本物を使ってんじゃないかな。
―値段によってクオリティに幅がありそうですね。
箱に入れていくつも買っていく人がいるって聞く。あの映画のお人形、ちょっと安すぎだよ。 逆に言えばわざとなんだと思うけど。あれをもっとリアルにするとやばい映画になっちゃうんだよ。
― 純粋な変態映画。あとラースの稼ぎではそんな高い物は買えないだろな、っていうのもあるし。
あなたがあの2本を選んだっていうのはさ、ひとつはオブセッションでひとつは双極性障害、そういう病気絡みだから選んだのかなと思ったんだけど、どうなの。
―双極性障害と引きこもりの話を斎藤先生に聞きたかったのもあったけど、『エンパイア・オブ・ライト』は、アカデミー賞をほとんど持ってった『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(以下エブエブ)より、心が動かされたんです。撮影賞ひとつしか取れなかったんですけどね。
『ラース~』は引きこもりと人形の関係がちょっと面白くて。でも今回見直したらラース、会社には行ってましたね。