【連載】映画と私たち「友達は優しい人だけにしたい」(ふじやまままこ)その2
対談する人
ふじやまままこ
60年代前半に東京で生まれる。広告会社、新聞社、出版社などを経てライターに。斎藤先生とは18歳くらいの時に一度会う。その後30代後半で再会。ウツや発達障害を抱えつつ、なんとなく生きている。
友達は優しい人だけにしたい
―私の場合は、結婚そのものが間違ってた、と先生に言われてから、ますますそのことが頭に浮かぶようになって、元夫に対して今さら腹が立ちます。もう別れて10年経ってるというのに…。
彼はあれでしょ、新しい結婚したかなんかしたんだよね、
―結婚したかどうかわかんないんですけど、ほかの人と暮らしてます。急にLINEの返事が来なくなったことで抑えていた怒りが湧きあがって。
大体そういうさ、自分の内訳話も言えないでしょ。それって面白いじゃん。男は金だっていう風に割り切って考えてればね。もう少し自分を大事にできたよ。
―過去のことを謝ってほしいし、慰謝料も払って欲しかったとか思っちゃうし。いい人だと思っていたから混乱したけど、実際は違うんじゃないかと…。別れようと言われた時、好きな人がいるの隠して、調停起こされて、実は騙されていたのかと。
かもね、大いにあるね
―先生は、私がとにかく、自分が傷つかないように選択して生きてると言ってましたよね。その一環なんですかね、自分が仲のいい友達って優しい人なんですよね。きついこと言ってこないような。夫もそれで選んだと思ったら、予想外の結果だったという。
優しい人って結局、関わり合いになりたくないから優しいんじゃない?わかんないよ、近代人の優しさってのは、防衛とか、それほどエネルギー使えないと思うから、優しいんだよ。
―そういうとこはあるかもしれない…
「わかるわ~」とか「あんたそんなことやってちゃダメじゃないの!」って言いながら実力を使ってくんない。実力って結局さ、今困ってんの?って100万位ぽんとね、これ自由に使って、とにかく新しい出発を!って言ってくれる人。まずいないだろ、5~10万は出す人いるかもしれん。 よく聞く話で、イタリアのベネチア辺りで、友人が真夜中に訪ねてきて、使用人が「何々様がいらっしゃいました」つったら、「ちょっと待って」って、主人は剣と金貨の入った袋を持ってきて、「この時刻にあんたが来るってことは刀か金が必要だろう。刀は俺が使うから、一緒に行こう」って言ったらしいんだ、助けるっていうのは、そほど腕力使うなり、現場に立ち会うくらいでないと。だからあなたの場合、慰謝料請求のために雇う弁護士の着手金を払ってくれるとかさ、「この〇〇先生に相談しなさい」とそのくらいやってくれる人がいればね。自分で諦めちゃうんだよな、困ってても金貸してくれ、とも言わないでしょ。
―言わないですね。そういう友達ってこれからもできそうにないな。
〈つづく〉